醤油屋だった古い町家の物語。

山形県鶴岡市、昔ながらの商店街の山王通りの一角にある、お醤油屋さんだった古い町家。

この街の多くの町家が老朽化で姿を消しているなか、築150年越えの古民家も例外ではなく「壊して駐車場かアパートに」という話も上がっていたといいます。とうとう売りに出されていたこの古い町家を、私たちは運よく見つけました。外観はボロボロになっていましたが、中に入ってみると風情のあるお座敷と、今では珍しくなった通り土間がそのまま残っていました。奥行きのある町家を風が心地よく吹き抜け、深い色になった太い木の梁を、時を経たガラス窓から差す光が照らします。

そんな古き良き佇まいを残したくてこの場所を手に入れ、暮らしと仕事の拠点にしようと改装。コーヒースタンドとお花のアトリエ、イベントスペースなどの複合ショップというかたちで古今はスタートしました。


2022年からは、町家の住人の私が、カフェの店頭に立つことになりました。

いまは、住商一体につくられた家で、暮らしや子育てと重なるカフェという仕事ができるよろこびを感じています。


古今という名前は、「古いものを今の暮らしに生かす」という意味が込められています。

古い家、古いモノ、古い習慣は必ずしも時代遅れではなく、脈々と続いてきた人々の暮らしの知恵を、私たちに与えてくれるものだと思うのです。

時代の移り変わる潮目のような現代、物質的には豊かになりましたが、私たちの心は満たされているでしょうか。急ぎすぎて、本当に大切なものを忘れてきてはいないでしょうか。


「古い町家の暮らしから、今の時代を生きるヒントを得る」ことは、私にとって大切なテーマです。

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